「賜物」という言葉をご存知でしょうか。「私が今日あるのは父からもらった援助の賜物だ」」「努力の賜物」などと使います。
日常会話でも時々使うことがありますよね。「努力の賜物」はほとんどの人が、見聞きした覚えがある言葉だと思います。では、「賜物」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。
「賜物」は少々古い言葉ということもあって、正しく意味を知っている人は少ないです。いざという時に正しく使うためには、意味について適切に覚える必要があります。そこで今回は「賜物」の意味や使い方、例文、読み方、類語、英語、対義語について解説していきます。「賜物」を上手く使えるようにしましょう!
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「賜物」の読み方・漢字
まずは、「賜物」の読み方・漢字をご紹介します。
「賜」という漢字の読み方は、音読みで「シ」訓読みで「たまわ(る)」「たま(う)」「たまもの」となります。
「物」という漢字の読み方は、音読みで「ブツ」「モツ」訓読みで「もの」となります。
「賜」という漢字は、一字でも「たまもの」と読みます。「賜物」と漢字で書くと、「たまもの」「たまわりもの」と読み方になります。
「賜物」の意味
それでは、「賜物」の意味をご紹介します。
「賜物」とは良い結果、良い物事を表す言葉になります。
まずは、「賜」の意味を見てみましょう。
「賜」の意味
- 1.たまわる。目上の人から物をいただく。
- 2.たまう。目上の人が目下の者へ物をあたえる。
- 3.たまもの。いただきもの。
「賜物」の意味は、「賜」の字からの意味が強く、「恩恵や祝福として与えられたもの」「あることの結果として現れたよいもの、または事柄」と表現することができます。
「賜物」と「賜」の違い
現在では、「賜物」「賜」とどちらを使っても問題はないです。
例
- 努力の賜物
- 努力の賜
「賜」は「たまわ(る)」「たま(う)」という動詞の意味と、「たまもの」という名詞の意味の両方があります。
そういった面を考慮すると本来は「努力の賜」という書き方になります。
「賜物」は本来の読み方は「たまわりもの」という「頂きもの」と「もの」「物質」を表現するのが本来の意味になります。
ただ努力の結果、得た結果を指し示して結果を「もの」として現在は使う場合もあるということです。
「賜物」の使い方・例文
「賜物」には2つの意味があります。
1つめの「恩恵や祝福として与えられたもの。たまわりもの。」という意味では、単純に目上の人からの頂き物であったり、思いもよらず起きた良いことという意味で使われます。
例文
- これは、天恵の賜物である
- これらは、王様からの賜物です
- 私の若さは神からの賜物です
2つめの「あることの結果として現れたよいもの、または事柄」という意味で使われる場合の例文をご紹介します。
現在、日常、ビジネスでの「賜物」と使われる場合はほとんどが、この意味合いで使われます。
例文
- 私が、東大に受かったのは、母の教育の賜物です
- 僕が生き残ったのは、訓練の賜物です
- あそこで失点しなかったのは、○○の冷静さの賜物です
- あの場面でホームランを打ったのは彼の努力の賜物です
- 今回、うまくいったのは、彼の笑顔の賜物です
- 彼が助かったのは、救命医師の処置の賜物です
「賜物」の挨拶で使う場合の例文
「賜物」という言葉は、挨拶でも良く使われることが多いです。その場合の例文を見いきましょう。
これもひとえに~の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「これもひとえに」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- これも、ひとえに先輩の方々のご指導の賜物です
- これもひとえに皆様の暖かいご支援、 ご愛顧の賜物と心から感謝いたします
- これもひとえに皆様のご支援、ご協力の賜物と深く感謝申し上げます

~のご支援の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「ご支援」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- 皆様のご厚情とご支援の賜物と、深く感謝申し上げます
- 皆様の温かいご支援の賜物と心より感謝申し上げます
- 皆様の温かいご支援の賜物と社員一同より感謝申し上げます
~のご指導の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「ご指導」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- 先生方のご指導の賜物と深く感謝しておりま す
- ○○様のご指導の賜物と感謝しております
- 先生のご指導の賜物で、子どもたちの意識がだいぶ変わってきており、とてもうれしく思っております
~のご愛顧の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「ご愛顧」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- 皆様のご愛顧の賜物とスタッフ一同心より感謝申し上げます
- 貴社のご愛顧の賜物と衷心より感謝致しております
- 皆様のご愛顧の賜物と心から御礼申し上げます
~のご尽力の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「ご尽力」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- ご尽力ご尽力の賜物と、深く感謝いたします
- 皆様のご尽力の賜物と、この場をお借りして心より感謝申し上げます
- 皆様方のひとかたならぬご尽力の賜物と、深く感謝いたしております
~のご厚情の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「ご厚情」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- 皆様のご厚情の賜物と感謝しております
- 皆々様のご支援ご厚情の賜物と深く感謝申し上げます
- 皆様からのご支援ご厚情の賜物と心より御礼申し上げます
~のご高配の賜物
会社でお世話になっている関係各位に向けて挨拶、お礼状、を送る場合に「ご高配」と「賜物」という言葉はよく使われます。それでは、その例文を見てみましょう。
例文
- 御社のご高配の賜物と大変ありがたく、感謝しております
- 貴殿のご高配の賜物と深く感謝致しております
- 株主の皆様、お客様、お取引先様をはじめとした多くの関係者の皆様のご支援、ご高配の賜物であると心より感謝申し上げます
「賜物」の使い方・注意点
「賜物」は目上の人からものを頂くという意味を持っていますので、直接、目上の方に使用することはありません。
「賜」という言葉は謙譲の意が強く現れます。目上の方を主語として謙譲表現を使うことはありません。「賜物」という言葉は目上の人に使いませんので、注意しましょう。
例文
- 今回のプロジェクトが成功したのは、上司の努力の賜物です
「賜物」の類語・同義語
「賜物」は2つの意味・意義があります。
1つは保証なしで得られる「物」「事柄」
保証なしで得られる「物」「事柄」の意味合いの類語・同義語
- 「賜り物」「贈もの」「貰い物」「到来物」「幣物」「贈り物」「貰物」「頂き物」「贈呈品」「ギフト」「贈物」「礼物」「戴物」「頂戴物」「贈りもの」「贈品」「戴き物」
例えば天皇陛下から何か贈り物を頂くことは、想像もしていないでしょう。天皇陛下から何か「頂戴」した場合は「賜物」を使うということがよくわかります。
「賜物」は努力や行動の結果というもう1つの意味・意義を持っています。
努力や行動の結果の意味合いの類語・同義語
- 「結実」「成果」「稔」「賜」「効果」「結晶」「実り」「稔り」「収穫」「所産」「産物」
「賜物」の言い換え
賜り物
意味:たまわった物。いただき物
貰い物
意味:人からもらった物。よそからの到来物(とうらいもの)。
到来物
意味:よそからのもらい物。いただき物。
幣物
意味:神前にささげる供物。贈り物。進物。
贈り物
意味:他人などにお祝いなどで贈るもののこと。
貰物
意味:人からもらった物。
頂き物
意味:人から貰った物のこと。
贈呈品
意味:公式の場で人に物を贈る事、記念品、何か出来事があった際に贈る特別な物
ギフト
意味:英語で「贈り物」。
礼物
意味:お礼として差し上げる品物。
頂戴物
意味:人から頂いた物
結実
意味:一般に、結果として出来上がること。その出来上がったもの。
成果
意味:しとげて得る結果。
稔
意味:穀物がよくできる。みのる。
効果
意味:よい結果。望ましい結果。ききめ。
結晶
意味:苦心・努力・愛情などの結果(みごとな形に)できあがったもの。所産。また、そういうものができること。
実り
意味:成果。
稔り
意味:実(み)を結ぶこと。成果。
収穫
意味:ある事から得た有益な結果。
所産
意味:作り出されたもの。うまれたもの。
産物
意味:比喩的に、あることの結果として得られるもの。
「努力の産物」
「賜物」の英語表現
「たまわりもの」という意味合いは
- a gift
- a present
- a boon
例文
- 天の賜物
- a gift from Heaven
- 天の賜物
- a boon
- これは文明の賜物だ
- This is a gift of civilization.
「結果」という意味合いは
- the result
- fruits of one’s efforts
例文
- 彼女の成功は努力の賜物だ
- Her success is the result of her efforts.
- 勤勉の賜物
- the fruits of industry.
- 僕の今日あるのは彼の賜物だ
- He has made me what I am